モチベーションマネージメント8
〔8〕「路傍の木切れ」論 続き
前回モチベーションマネージメント7においては、従業員の環境を適切なものにすれば従業員はその能力を十分に発揮することができることをお話ししました。
今回は求人難を長年の努力で克服した事例とモチベーションアップのために会社が行っている事例を解説を交えてお話しします。
(1) 求人
足場材のレンタル会社は、約30年前に中途採用をしようと企業の合同説明会にブースを出したのですが学生は誰一人来ませんでした。しかし、現在は就職活動の時期になると何百人という学生が当社を訪問するようになりました。
いったいこの会社は何をしたのでしょうか。魅力的な企業になるためにはどうするのかを悩み、次のことを始めました。
従業員の基本的な権利の尊重、即ち、労働基準法をきちんと守ることにしたのです。完全週休2日制と有給休暇の完全取得です。これに3年間かかりました。得意先へ行って理解を得ること、従業員の理解が必要でした。次に、残業と休日出勤ゼロをめざし、今では年間の残業時間は2時間程度でほとんど残業はなくなりました。
当社に何百人という学生が訪ねて来ることは、現に在籍する従業員の更なるモチベーションアップに繋がっています。これらの裏にはコスト削減と売上向上の努力があります。
(2) モチベーションアップ
上記のレンタル会社は、次のような従業員のモチベーションを高めるための活動を行っています。
・経営方針の従業員への浸透 → 毎年の経営計画発表会でトップのビジョンを繰り返し説明
・従業員研修会実施 → 従業員が講師となりグループ討議中心の研修会を開催
・良い人間関係を作りだすために、
① ワーキンググループ(WG)活動
※かつての小集団活動に似ていますが、全社横断の活動で、「挨拶ワーキンググループ活動」、「整理整頓清掃3S ワーキンググループ活動」、「良い点発見ワーキンググループ活動」などがあります。若手社員を中心に取締役が顧問になって推進します。
挨拶WGでは、挨拶のやり方や名刺の出し方などを社内に広める活動、朝礼後のハイタッチ、グータッチなどを主導します。
3S WGでは、社内を回って3Sが必要な場所ややり方を提案実行します。整理は赤札作戦が有効です。3S WGが計画立案し半日くらいをかけて実施します。整頓は一定位置に戻してもらうための表示やラベル貼りなど、清掃は清掃状態を競う社内コンテストを実施したらどうでしょうか。このように業務改善活動が中心になりますが、会社周辺や地域の清掃活動への参加も検討します。
ワーキンググループがいろいろな企画とその実行を行います。取締役はその予算や社内の協力をとりつけるために応援します。
② スポーツクラブ活動や文化活動
※バスケットボール、バレーボール、卓球やバトミントンなどの、例えば週1回の練習のスポーツ活動を通じて所属部門外の社員との交流ができます。習字や楽器演奏の得意な社員もいることでしょう。そんな社員の素晴らしい側面を見ることができます。スポーツクラブ活動は少額予算で豊富な良い人間関係を作り出す有効な施策です。
・全従業員で褒め合う表彰制度
※御社の就業規則の賞罰規定では、懲戒の定めはきちんと書いてあると思いますが、表彰する(褒める)ことは豊富に記載しておられますか?表彰するのは、まんべんなく行うこと。特定の社員ではなくて広く褒めること。上記の「良い点発見WG」が活動できます。全従業員の感謝の心を示すためには賞状を贈ります。お金は期待値があり逆効果になることがありますので注意が必要です。
モチベーションマネージメントも他の活動と同じですが、当初からうまくいくはずはありません。しかし、始めないことには事態は変わりません。
(平成30年2月9日 熊本県よろず支援拠点 コーディネーター 原川修一 )
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